R-CPDのボトックス注射ってどの程度効果があるの?最新の研究データを紹介!
「炭酸を飲んでもゲップが出ない…」
「お腹がパンパンに張って苦しい…」
こんな悩みを抱えている人、実は意外と多いんです!
その正体は 「ゲップできない症候群(Retrograde Cricopharyngeus Dysfunction:R-CPD)」。
現在ある治療法として確立されているものが、喉(輪状咽頭筋)へボトックス注射を打つ、というもの。
今回はそのボトックス注射の効果を検証した最新研究 ”Prospective Controlled Study of Endoscopic Botulinum Toxin Injection for Retrograde Cricopharyngeus Dysfunction: The Inability to Belch Syndrome”(逆行性輪状咽頭機能不全に対する内視鏡的ボツリヌス毒素注射の前向き対照試験)を見ていこうと思います!
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🔍 そもそも「ゲップできない症候群”R-CPD”」って何?
僕のブログでは何度も出てくるR-CPDについて簡単に説明していきます。普通の人は、胃にガスが溜まると 上部食道括約筋(喉の筋肉)が開いてゲップとして排出 されます。
しかし、R-CPDの人は、この筋肉が開かず、ガスが閉じ込められたまま になってしまうんです。
その結果、こんな症状が現れます👇
✅ お腹の張り(腹部膨満感)
✅ 胃や食道にガスが溜まり、胸の圧迫感や痛みを感じる
✅ 喉の奥で「グルグル」という音がする
✅ 食後の不快感や吐き気
✅ ストレスや社交不安の原因になることも
「子どもの頃からゲップをしたことがない」
「炭酸飲んだ後、お腹が苦しくなるのにゲップが出ない」
…もしこんな経験があるなら、R-CPDの可能性があるかもしれません!
🧪 診断には高解像度食道マノメトリー(HRM)が有効
今回の研究では、R-CPDの患者と健康な人を比較し、炭酸飲料を使った高解像度食道マノメトリー(HRM) を実施しています。
参考:ゲップが出せない原因を探る!高解像度インピーダンスマノメトリー(HRIM)とは?
結果は驚くべきものでした!
🔸 健康な人 → ガスが食道に上がると筋肉が開いて ゲップとして排出 ✅
🔸 R-CPDの人 → 筋肉が開かず、ガスが閉じ込められたまま ❌
つまり、ゲップが出せないのは「癖」ではなく、喉の筋肉が物理的に開かないからということが明らかにされています。
💉 ボトックス注射を打った結果
今回の研究では、喉にボトックス注射を打った患者と打たなかった患者が、その後どうなったのか?を調査しています。
✅ 結果は?
研究によると、治療を受けた3カ月後には92%の患者が「ゲップができるようになった!」 と報告。
さらに、お腹の張りや胸の圧迫感も劇的に改善 し、生活の質(QOL)が大幅に向上しています!
ボトックス注射を打たなかった患者でゲップが出せるようになった人は0%と当然と言えば当然ですが悲しい結果に…
⏳ 副作用はどうだった?
今回の研究では、ボトックス注射の効果のみならず副作用も調査されています。
⚠ 嚥下障害(飲み込みにくさ) → ほぼ全員に発生するが、1ヶ月以内に回復
⚠ 一時的な声のかすれ(5%の人に発生)
⚠ 胸焼けや逆流症状(15%の人に発生)
⚠ 呼吸困難(10%の人に発生)
🏥 結論
- HRMを用いた診断が有効 であり、炭酸飲料を用いたテストがR-CPDの特徴を明確に示すことができる
- 喉へのボトックス注射は高い成功率(92.1%)を示し、症状改善とQOL向上に大きく寄与 する
- 副作用は一時的であり、安全性が高い治療法と考えられる
🎤 ボトックス注射、日本でも受けられるの?
現在、東京にある日本医科大学付属病院 では ボトックス注射によるR-CPD治療を実施 しています。
日本医科大学付属病院ではR-CPDに対する紹介状を受け付けているので、近くの消化器内科や耳鼻咽喉科の専門医に相談してみるのがオススメ です!
📝 参考文献
Sanagapalli, S., Eid, M., Kim, M. B., & Tudehope, F. (2024). Prospective Controlled Study of Endoscopic Botulinum Toxin Injection for Retrograde Cricopharyngeus Dysfunction: The Inability to Belch Syndrome. The American Journal of Gastroenterology. https://doi.org/10.14309/ajg.0000000000003242
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