ゲップが出ない体質「R-CPD」を徹底解説
Retrograde Cricopharyngeus Dysfunction (R-CPD)は、逆行性輪状咽頭筋機能不全と訳される疾患です。
2019年にロバート医師が発表し、ゲップが出せないという症状が特徴です(参考:Inability to Belch and Associated Symptoms Due to Retrograde Cricopharyngeus Dysfunction: Diagnosis and Treatment)。
簡単に言えば、R-CPDはゲップを出せず、その結果様々な症状を引き起こす状態です。
これまで日本では、この病気を認知している医師が少なく、適切な治療を受けるのが難しい状況でしたが、最近になり日本で唯一R-CPDの治療ができる病院も登場しています。
詳しくは、こちらの記事で受診の手順についても紹介していますので、ご参照ください。
【参考】
僕は体の専門家である理学療法士ですので医学的な視点を踏まえて解説していきます。
病態
R-CPDは、食道の入り口にある輪状咽頭筋が過剰に緊張していることが原因で、空気が食道から上がってきても、この筋肉が弛緩しないため、ゲップとして排出されません。特徴的なのは、物を飲み込む際には問題なく、胃や食道にも特に異常が見られない点です。
主な症状
1.ゲップが出ない
多くの患者は10代の頃から「自分はゲップが出ない」と気付きます。赤ちゃんの頃からゲップが出にくかったという人もいます。自分の意思でゲップを出せないため、指を喉に入れて吐こうとする人もいますが、これは推奨されません。胃酸によって食道や喉を傷つける可能性があるためです。
【参考】
ゲップの出し方はこちら
2.喉やお腹が「ぐるぐる」と鳴る
胃や食道に溜まった空気が喉元まで上がってきますが、出口が塞がれているため引き返し、その際に「ぐるぐる」という音がします。この音は、喉や胸、お腹で響くことがあり、社会生活にも影響を与えることがあります。
3.胸やお腹の痛み
ゲップが出ないとガスが溜まり、腹部や胸、喉に圧迫感や痛みを感じます。逆流性食道炎を伴う場合もあり、胸やけや息苦しさが生じることもあります。
4.腸内のガス溜まり
ゲップが出せないため、ガスが腸に溜まりやすくなり、レントゲンで確認できることがあります。これによりおならの回数が増え、社会生活に支障を来すこともあります。
【参考】
診断
上記の症状が4つ揃っている場合、R-CPDと診断される可能性があります。また、輪状咽頭筋へのボトックス注射を行い、症状が軽減されればR-CPDであることが確認できます。日本でもついにR-CPDの治療が始まりました。日本医科大学付属病院のリハビリテーション科で治療をすることが出来ます。
【参考】
治療法
最も効果的な治療法は、輪状咽頭筋へのボトックス注射です。上述の参考文献によると、51人の患者にボトックス注射を施し、全員がゲップを出せるようになりました。また、ほとんどの患者が腹部の膨満感や痛みが改善し、その効果は半年以上持続することが確認されています。
【参考】
さいごに
いかがでしたか?もし、これらの症状に心当たりがある場合、R-CPDの可能性があるかもしれません。日本では治療が始まったばかりで対応している病院も限られています。
もし日本医科大学付属病院を受診する事が難しい場合、甲田式ゲップの出し方を練習してみることをお勧めします。私も28年間ゲップが出せませんでしたが、この方法を実践することで無意識にゲップを出せるようになりました。ぜひ試してみてください。
何か分からない点があれば、いつでもお気軽にご質問ください!
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