大人なのにゲップを出せない様々な医学的理由

2024年9月23日月曜日

R-CPD ゲップが出せない

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ゲップが出せないことで悩む大人に知ってほしい、医学的視点からの原因と対処法

ゲップが自然に出せない、もしくは極端に少ないことで悩む大人は多く、その背後には様々な原因が考えられます。中でも、近年注目されている**R-CPD(ゲップ困難症)**は、医学的に明確な診断名が与えられており、治療法も存在します。この記事では、医学的な視点から「なぜゲップが出ないのか」という原因と、R-CPDに焦点を当てた対処法について詳しく解説します。


ゲップ困難症(R-CPD)とは?

R-CPD(Retrograde Cricopharyngeal Dysfunction)は、「ゲップ困難症」とも呼ばれ、食道の上部にある輪状咽頭筋(Cricopharyngeus muscle)が緊張状態のまま弛緩できないため、胃や食道からガスを排出できない、つまりゲップが出ない状態を指します

この筋肉は、通常、食物や液体が食道から胃に移動した後に閉じて、逆流を防ぐ役割を果たします。しかし、R-CPDの人ではこの筋肉が逆方向に弛緩しないため、ガスが体外に出ることができず、ゲップをすることが困難になります。

【参考】

ゲップが出ない体質「R-CPD」とは


R-CPDの主な症状

R-CPDの症状は、ゲップが出せないことに加えて、以下のような不快感を引き起こします。

  • お腹の張りや膨満感:ガスが体内に蓄積されるため、強いお腹の張りを感じます。
  • 胸や喉の圧迫感:ガスが上手く排出されないため、胸や喉に圧迫感やつかえた感じが生じます。
  • げっぷしようとしても失敗する感覚:何度もげっぷを出そうとしても、実際には出せず、喉で詰まった感覚が続きます。
  • 過剰なオナラ:ゲップでガスを排出できないため、ガスは腸に移動し、オナラとして排出されることが多くなります。
  • 消化不良や食後の不快感:ゲップが出せないため、食後に胃もたれや不快感が強くなります。

R-CPDの診断と治療法

R-CPDは比較的新しい診断名で、まだ多くの医師がこの症状について十分な知識を持っていないこともあります。しかし、ゲップが出ない問題で困っている患者には、適切な診断と治療が大きな助けになります。私が確認できている限り、日本で唯一R-CPDの治療を行っているのが日本医科大学付属病院です。

【参考】

日本で唯一!?R-CPDの治療が出来る病院はここ!!

  1. 診断方法

    R-CPDの診断には、患者の症状の聞き取りが重要です。特に、ゲップが出せないという主訴に加えて、胸や喉の圧迫感やお腹の張りなどの症状を報告することが必要です。加えて、専門医が行う喉や食道の機能検査(内視鏡検査やレントゲン撮影など)で、輪状咽頭筋の異常な動きを確認することがあります。

  2. ボトックス治療

    R-CPDに対しては、ボトックス注射が有効な治療法とされています。ボトックス(ボツリヌス毒素)は、輪状咽頭筋に直接注射され、筋肉を弛緩させる効果があります。これにより、ガスの逆流が可能になり、ゲップが出やすくなります。多くの患者でこの治療が成功しており、ゲップを自然に出せるようになることが報告されています。
  3. 手術療法(稀なケース)

    ボトックス治療が効果を示さない場合、外科手術で輪状咽頭筋を部分的に切除する手術も選択肢となります。しかし、これは最終手段であり、多くの場合はボトックス治療で十分な効果が得られます。

【参考】

ゲップが出ない他の原因

R-CPD以外にも、ゲップが出ない原因は様々です。以下は、一般的な原因とその解説です。

  1. 食道や胃の機能障害

    ゲップは通常、食道や胃からガスを排出するために起こりますが、これらの器官が正常に機能しない場合、ガスがうまく排出されません。胃の機能低下や食道括約筋の異常が原因となることがあります。

  2. 逆流性食道炎

    胃酸が食道に逆流することで起こる逆流性食道炎は、ゲップが出にくくなる一因です。これらの疾患では、体が胃酸逆流を防ぐため、ゲップを抑制することがあります。

  3. 腹部膨満感や過敏性腸症候群(IBS)

    腸内にガスが蓄積されると、腹部膨満感や消化不良を引き起こし、ゲップを出すことが難しくなります。特に、過敏性腸症候群(IBS)はガスの排出に関する問題を引き起こしやすいです。


ゲップが出せない場合の対処法

  1. 食生活の改善

    食事中に空気を飲み込まないように、ゆっくりと噛んで食べることが大切です。また、炭酸飲料やガスを発生させる食品を控え、発酵食品やプロバイオティクスを積極的に取り入れることで、腸内環境を改善し、ガスの排出を促進します。

  2. 呼吸法や姿勢の改善

    呼吸のコントロールはゲップを出す上で重要です。深い腹式呼吸や反対の胸式呼吸など、自在に呼吸のコントロールを出来るように練習する事が重要です体を前かがみにする姿勢が、ゲップを出しやすくすることが知られています。また、運動やストレッチを取り入れることで、消化管内のガスの動きを促進することも効果的です。

  3. ストレス管理

    自律神経が消化器の働きをコントロールしているため、ストレスを適切に管理することが重要です。リラクゼーション、ヨガ、深呼吸などのストレス緩和法を取り入れることで、消化機能が改善され、ゲップが出やすくなることがあります。

  4. 医療的な介入

    ゲップ困難症や他の病が疑われる場合は、専門医の診察を受けることが重要です。R-CPDのような症状がある場合は、ボトックス治療や手術の選択肢も含めた専門的なケアが必要です。

  5. 甲田式ゲップの出し方
    28年間ゲップを出せなかった僕が独自に開発した方法です。こちらの記事で詳細は説明していますが、簡単に説明すると、ゲップが出そうになったタイミングで「息を止めたまま胸からみぞおちにかけてを強く引っ込める」という方法です。


まとめ

ゲップが出せない問題には、R-CPDのような医学的な原因が含まれていることがあります。特に、R-CPDは日本で治療が出来る病院が限られており、2024/9/23現在で僕の調べられた限りでは、日本医科大学付属病院のリハビリテーション科のみですこちらの記事では、どうしたら日本医科大学付属病院を受診する事ができるのかを詳細に説明しています。ゲップが出ないことに悩む場合は、日本医科大学付属病院で治療を開始することも検討してみましょう。海外ではボトックス治療が多くの患者に効果をもたらしているため、希望を持って対処していきましょう。また甲田式ゲップの出し方は、ボトックス注射後のゲップの排出にも役立つと思われますので是非練習してみましょう。

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理学療法士をしている「ひろ」と言います。 ゲップが出せずに苦しんでいる人を少しでも減らしたくて立ち上げたブログです! このブログに出会うことで少しでも救われる人が増えますように。

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